忘れじのレイドバック 2001年2月〜5月
2001年2月9日
たった1年で休刊……。
Z-kanを愛読してくださったみなさんには、本当に申し訳ない。
読者のみんなをはじめ、執筆者や編集者、その他大勢の人から
「号を重ねるごとによくなってる」との声をいただいた。
「よし、これから」っていうときの休刊決定だったので、
個人的にも不完全燃焼ではある。
でも泣き言ばかり言ってもしかたない。
なんとしてでもリニューアルを図るつもりだ。
乞ご期待。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
2001年2月13日
おそるべし「2ちゃんねる」。
Z-kanの休刊ネタがさっそくスレに立っていた。
けっこうな叩かれようだけど、スレが立つのは、無関心ではない証拠。
「就職情報誌の隣に並んでた」など有益な情報もあったし、しばらくは要チェックだな。
そうそう、2ちゃんねるを立ち上げたひろゆきくんには、
Vol.3でコラムを書いてもらった。
執筆依頼の際に聞いたんだけど、1日100万アクセスを超えてるとのこと。
運営スタイルに賛否両論あれど、日本有数のメディアであることはまちがいない。
朝生あたりで、「2ちゃんねる徹底討論」でもやったら面白いのに。
そのくらい大きな存在ではあるはず。
2001年2月16日
Z-kan4号の置かれ具合をチェックしようと、池袋リブロに行ってみた。
あいかわらず、リブロはいいとこに置いてくれている。
雑誌コーナーだけじゃなくて、
ムック棚や人文書の評論棚にも置いてくれているのがありがたい。
学参のZ会コーナーにも置いてある。ありがたや、ありがたや。
たちよりついでに、人文書コーナーをぶらついていると、
突如目に飛び込んできたのが
「フリーターを考えるためのブックフェア」という看板。
「これはまさか……」と思って陳列書籍を眺めると、うぉぉぉぉ……。
そこには、以前人文書担当Sさんに挨拶がてら渡した、
自作のブックリスト書籍がほぼそのまま並んでいた。
あのときは「何かの参考にしてください」と気軽に渡したんだけど、
まさかミニフェアをしてくれるなんて。
しかぁーし……、肝心のZ-kan3号がない! あれがブックリストの元ネタなのに! ホワイ?
混乱に我を失いかけそうになったそのとき、
運良くSさんがいたので、鼻息あらくお礼を述べた後尋ねてみると
「実は売り切れて、フェアはもうすぐ終わるので追加注文するにはタイミングが悪いんです」。
残念だけど、4号とからめて旅本ミニフェアをしてくれるとのこと。
そんなわけで、Sさんに渡したブックリストを掲載しておきます。
折をみて、1号、2号、4号のブックリストもアップしますので、本選びの参考にどうぞ。
2001年3月12日
なんとも嬉しい話。
BK1で『Z-kan』のバックナンバーフェアを開いていただいてます。
ついでながら僕のコメントも少々のっかってます。
お時間のある方、ぜひここを訪れてみて。
お礼でもちあげるわけじゃないけど、
BK1のコンテンツはほんとに充実してる。
うっかり油断してインタビューやコラムを読み漁っていると、
2時間、3時間あっという間に過ぎてしまうからおそろしい。
あとね、自分の書評が採用されるとポイントをもらえて、
それを使って本の買い物ができるんだよ。
この間、試しに一つ書いたら採用されたので僕も600ポイントをゲット!
みなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょう。
2001年3月26日
原宿クエストホールで、イッセー尾形さんの公演を観てきました。
テレビやビデオでは見たことがあるけど、生イッセーは初めて。
いやすごいのなんの。2時間に特上のネタがギッシリ。
イッセーさんは、演じる人物についての価値観をあえて宙吊りにして、 それを観客に預けてしまう。
だから、公演後にあーでもない、こーでもないと考える楽しみもある。 帰宅後、webで検索したら、こんな素敵なサイトを発見。うー、また観たい。
2001年3月28日
この3月、次々と新雑誌が創刊された。
女性誌は講談社の『グリ』、扶桑社の『エラン』、版元忘れたけど『美的』。
男性誌では、オヤジ向け娯楽&教養を狙った講談社の『オブラ』。
あと、アイドル、スポーツ選手、文化人すべて等価に並べた朝日の『パーソン』などなど。
雑誌を休刊にした僕が言っても説得力はないけど、
どれもあまり冒険心が感じられない。
すごく慣れた手つきで雑誌を作ってはいる。
でも、こちらがドキリとするような記事は、ほとんどなかったなぁ。
雑誌ではないけど、中公から出た「中公新書ラクレ」シリーズのほうが、
テーマや作りの点でものすごく雑誌的だし、
また(活字素材だけではあるけど)新しい手法を感じさせたぞ。
2001年4月8日
3月末日をもってZ会を退職した。
Z-kanの休刊が決まってから、なんとかZ会にリニューアルを認めてもらおうと、
異動面で東京残留を希望したが、受け入れられず、
三島本社(静岡県)で通信添削の編集をせよ、とのお達し。
あーそうですかい、だったら会社辞めます。
てな具合で、先のことなど何も決まらないまま、会社を辞めた。
Z会にとって、Z-kanなんてのは、あってもなくてもよかったらしい。
結局は受験産業、試験オタクの巨大養成所でありさえすればいいのだろう。
どうせ一人ではじめたZ-kanだ。
ゼロから版元探して、すんげぇ雑誌を作ってやる。見てろよZ会!
2001年5月9日
橋本治の新刊『「わからない」という方法』(集英社新書)は、
ついついお手軽なノウハウ本に頼りがちな人にぜひともおすすめの1冊。
フランスの哲学者デカルトが提唱した「方法」
−−そこには「からだで覚える」という視点がすっぽり抜け落ちていた。
それは「効率性」を優先させる点で、
現在の「知のインスタント化」とも通底している。
でも、そろそろ「効率性」という価値観は限界がきてるんじゃないだろうか?
頭でっかちな「効率性」に断固NONを唱える本書は、
21世紀の「方法序説」として読まれなければならない。